イスラム革命防衛隊の戦略

■宗教組織が独裁政治を行う国
 イランは宗教組織が国民を貧しさから救う目的で革命を起こした。国民も革命を信じたが、実際は宗教組織のための革命だった。革命は国民を豊かにするどころか苦しめるだけ。女性の地位は低く、言論の自由は無い。

 イラン正規軍は忠誠を疑われ、宗教組織の私兵としてイスラム革命防衛隊が作られた。革命防衛隊はイラン正規軍による反乱対策の組織であり、イラン国民の反乱対策の組織でもある。

 革命防衛隊は革命を守るために国外まで活動を広げた。これは反米活動でもあるからアメリカとの因縁になった。中国が進める一帯一路にイランが組み込まれると、イランは中継地点になった。すると中国と対立するアメリカは、イランを攻撃して一帯一路潰しを選ぶ。その結果、イラン空爆が間近に迫っている。

■迫る攻撃
 革命防衛隊から見ればアメリカ軍による空爆は確実。北朝鮮軍は短距離弾道ミサイルを発射したが国連決議違反で空母打撃群を派遣されない。大雑把に見ても、国連安全保障理事会決議1695・1718・1874などが該当する。

 革命防衛隊は以前からシリア・イラクで活動している。サウジアラビア周辺でもフーシ派を支援してテロ活動をしている。だがアメリカは、今になって「アメリカ軍と同盟国を攻撃する」と警戒。さらに革命防衛隊が短距離弾道ミサイルを移動したとして、空母打撃群と爆撃機をペルシャ湾に派遣。その後地対空ミサイル部隊と揚陸艦を増派。

 北朝鮮には明らかな情報でも空母打撃群を派遣しない。それに対してイランには、曖昧な情報で空母打撃群と爆撃機を派遣する。さらに増援だから、アメリカがイランを空爆することは明らかだ。

 アラブ首長国連邦の沿岸とサウジアラビアでテロ攻撃が発生。これはアメリカが公表した発言を肯定する動き。結果的にアメリカは、世界平和を大義名分にイラン空爆を実行できる。そのため革命防衛隊から見れば、アメリカ軍による空爆が迫っている。

■革命防衛隊の戦略
 戦略は基本的に2つ。一つは決戦戦略であり、もう一つは持久戦略の2つ。各国の軍隊は自軍の戦力・国力を考慮して選択する。

決戦戦略
1:勝利の獲得が戦闘の目的
2:損害の多寡を顧みない
3:迅速な決着を追求する

持久戦略
1:不敗が戦闘の目的
2:戦力の温存を図る
3:出来る限り敵の行動を妨害し戦いを長引かせる

参考 松村 劭 (陸将補 故人)

 イランは宗教組織が支配する独裁国家。イラン正規軍が戦闘に参加するか疑問。さらに革命防衛隊に資金と人員が優先され、イラン正規軍の近代化が遅れている。仮にイラン正規軍が戦闘に参加しても、アメリカ軍と正面戦闘は行えない。アメリカが「攻撃対象は革命防衛隊であり、イラン正規軍は敵ではない」と公表すれば、イラン正規軍は動かない可能性が有る。

 さらに周辺国もアメリカ軍に参加すれば戦力差は致命的。戦史では機動戦で劣勢を補う決戦戦略が可能。だがイラン正規軍・革命防衛隊では機動戦は行えない。革命防衛隊はイラン正規軍の反乱を想定しながら戦う必要性に迫られている。

 革命防衛隊が選択する戦略は、必要性から持久戦しか選べない。これは革命防衛隊には不利だが、持久戦しか実行できないのだ。

■持久戦
 革命防衛隊が選べるのは持久戦のみ。革命防衛隊はテロ攻撃と山岳地帯を用いて持久戦を行うと推定する。テロ攻撃ならば、シリア・イラク・サウジアラビア・世界各地で実行可能。これはアメリカ軍の戦力が集まる前から実行可能。テロ攻撃でアメリカ軍・同盟国を攻撃し後方連絡線・世界経済を混乱させる。完全な遮断はできないが混乱は可能。

 革命防衛隊は劣る戦力で山岳地帯を用いて持久戦を行う。長期戦を行うことでアメリカ軍・同盟軍に消耗を強制する。長期戦になれば世界情勢も変化する。そうなれば外国が和平を仲介する可能性も出る。

 だが持久戦では勝利は得られない。持久戦で勝利を得るには、敵主力を一部で拘束し、自軍の機動部隊で敵主力を撃破しなければ得られない。この典型例は、第二次世界大戦のスターリングラード攻防戦。ソ連軍は都市スターリングラードでドイツ軍主力を拘束し、機動打撃部隊を用いて包囲殲滅した。

 革命防衛隊が持久戦と機動防御を組み合わせれば、最終的には革命防衛隊が勝利する可能性が有る。だが革命防衛隊に機動防御を行えるだけの機動部隊が必要になる。

 革命防衛隊に有力な機動部隊が無い場合は、山岳地帯を用いた持久戦しか選べない。アメリカ軍の損害が甚大であれば外国の和平交渉は応じるが、損害が軽微であれば和平交渉は無い。そのため革命防衛隊は、持久戦でいかに損害を与えるかが鍵になる。

 だがアメリカ軍が空爆優先にした場合、アメリカ軍の損害は軽微になる。空爆は技術を用いた遠距離戦であり、古代から遠距離戦は技術を用いた損害回避で使われる。革命防衛隊は持久戦しか得られないが、アメリカ軍が空爆優先の長期戦を選ぶと、革命防衛隊の持久戦略は簡単に消し飛んでしまう。

■革命防衛隊の望み
 革命防衛隊はアメリカ軍が陸戦部隊を投入し、イラン首都テヘランまで侵攻することが望みになる。アメリカ軍が首都まで侵攻するなら持久戦略は機能する。だから革命防衛隊は、アメリカ軍に最初から主導権を奪われた立場に置かれている。

 さらにアメリカ軍が首都まで侵攻しても、イラン正規軍とイラン国民が革命防衛隊に対して反乱を起こさないことが望みになる。アメリカ軍が侵攻したら反乱を起こす可能性が有るので、革命防衛隊は内憂外患なのだ。

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