中国共産党の悩み

■強化された人民解放軍
 中国共産党は人民解放軍を強化した。この事実は国際社会の軍事バランスを変えたのは事実。実際に中国の覇権は拡大し、中国の存在感がアメリカに近付いたのも事実。さらに経済力が増したことで、アメリカは中国を軽視できない。

 これが中国共産党に自信を与え、中国を強国の一つとして世界の政治と経済に介入する土台となっている。だが中国は致命的な問題を抱えている。

■中国共産党の私兵
 人民解放軍は国家の軍隊ではなく中国共産党の私兵。だから人民解放軍は国家ではなく中国共産党に忠誠を誓う。これは軍隊運用でも国家の群体とは違いが出る。国家の軍隊は地方分権方式なので、国外で運用することを前提とする。

 だが私兵の場合は中央集権方式になる。人民解放軍は北京を拠点とした私兵だから、中国各地に人民解放軍を直接配置する方式になる。つまり中国の他の省は敵地であり、王朝交代を狙う外国と同じ価値になる。

 中国共産党は共産党王朝とも言える組織だから、人民解放軍を私兵として使っている。人民解放軍は共産党王朝を守る私兵であり、他の省は仮想敵国でもある。だから中国が外国と戦争を開始すると、他の省は交戦国側に付く可能性を持っている。

■国家区分
 国家区分から見れば中国は王朝国家に該当する。王朝国家とは国王と傭兵が契約関係で戦争する。見た目の人民解放軍は強力だが、王朝国家は総力戦が行えない欠点を持っている。

戦争学における国家区分
王朝国家(King with mercenary):総力戦(Total war)が困難
武装国家(Nation in arms) :第一次世界大戦前期の欧米・軍事だけで戦争する
戦時国家(Nation at war) :第一次世界大戦中期からの欧米・国家の全てを用いる総力戦

 総力戦とは戦争手段であり、政治・経済・軍事の全てを用いて戦争する。欧米は第一次世界大戦の段階で武装国家だったが、中期からは総力戦に対応した戦時国家に移行した。

■組織構造の違い
 人類の戦争は第一次世界大戦後から総力戦が前提となり、今の欧米は戦時国家が基本。問題なのは王朝国家の中国。王朝国家と戦時国家では世代が異なり、人民解放軍を強化しても現代の戦争に対応することが困難な組織構造になっている。

 アメリカは政治・経済・軍事を用いる手段としての総力戦が前提。だが中国は根本的に総力戦を行えない。国家区分が異なる国同士が戦争するとどうなるのか?

 その戦例は戦前の日本。戦前の日本は武装国家で第二次大戦に突入した。それに対して交戦国の欧米は総力戦を前提とした戦時国家。日本は第一次世界大戦に突入してから総力戦を体験し、試行錯誤を繰り返しながら戦争した。

 総力戦に対応できないことは致命的で、物資の集積・生産・備蓄・輸送などが計画的に行えない。合理的な人員配置も必要で、戦争遂行には必要不可欠な手段なのだ。

■アメリカは総力戦が前提
 アメリカの戦争目的は全面戦争か制限戦争のどちらかを採用する。第二次大戦までのアメリカは全面戦争を採用し、朝鮮戦争からは制限戦争を採用している。

戦争目的
全面戦争(All-out war) :交戦国の政権を否定する
限定戦争(Limited war) :戦争目的が限定されている戦闘と交渉
制限戦争(controlled war):政治が軍事に介入する

手段・方法(戦い方)
総力戦(Total war):政治・経済・軍事の全てを用いる

戦争の傾向
全面戦争:総力戦になりやすい
限定戦争:総力戦が困難
制限戦争:軍事的不合理を克服して勝利を求めるほど総力戦に近くなる

 どちらにしてもアメリカは総力戦を選ぶから、総力戦を行えない中国には不利な戦争になる。王朝国家の中国が全面戦争を選べば敗北が保証される。理由は総力戦が前提。これではアメリカと戦争するだけ無駄。

 中国に勝ち目が有るのは限定戦争。これなら戦闘と交渉をするから、敵軍撃破を徹底すれば勝利の可能性は高い。だがアメリカは限定戦争を選んだ戦例が無い。今のアメリカは制限戦争を採用しているので、中国は嫌でも制限戦争に巻き込まれてしまう。

■張子の虎
 中国共産党は世界の強国になりたいのは事実。そのために軍事力を強化して覇権を拡大した。だが中国共産党は人民解放軍を私兵から国家の軍隊にすることはできなかった。これは中国共産党の悩みの種であり中国の致命的な弱点。

 仮に戦争が始まればアメリカの総力戦に巻き込まれることになる。今の中国では戦争を支える産業構造になっていない。これは中国共産党が張子の虎であることを示している。だから常に大きく見せているのだ。


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