陣営分けが進む世界

■中露共闘
 米中貿易戦争が激化しているが、ロシアが中国と共闘する。中国単独では米中貿易戦争でアメリカに勝てない。だがロシアが中国を支援すれば状況が変わる。米中貿易戦争は見た目の対立で実際は覇権の激突。

 そこにロシアの覇権が参加した。これでロシアもアメリカの覇権に挑戦することを意味する。経済対立から政治・経済・軍事の全てで対立する世界に突入した。

「対米共闘」で結束誇示=G20前に中ロ首脳会談
https://www.msn.com/ja-jp/news/world/「対米共闘」で結束誇示%ef%bc%9d%ef%bd%87%ef%bc%92%ef%bc%90前に中ロ首脳会談/ar-AACrhfN

■思惑
 米中貿易戦争で中国は劣勢。このまま放置すれば中国の覇権が縮小する。中国の覇権が拡大したことで、人民解放軍はアフリカ・南シナ海まで進出。アメリカ軍も人民解放軍の展開に対応しなければならない。

 だが中国の覇権が縮小すれば、アメリカ軍の対応も縮小する。これはアメリカ軍の軍事費節約を意味する。これではアメリカの勝利で終わる。次はロシアが狙われる可能性が有るから、ロシアとしては放置できない。

 中国が劣勢になったらロシアが参加。ロシアは中国を防波堤にすることで覇権維持を目論んだ。ロシアの参加で覇権のバランスは維持される。そうなればアメリカ単独の優勢は通用しない。

■安全保障
 安全保障でも中ロ共闘はロシアに好都合。何故なら軍事面でもアメリカとのバランスが維持できる。しかもアメリカが容易に動けない状況を作り出せる。

共闘前
中国の主力:アメリカ軍戦力100%

共闘後
中国の主力:アメリカ軍の戦力50%
ロシアの主力:アメリカ軍の戦力50%

 簡略化すれば、共闘前の中国はアメリカ軍戦力100%と戦うことを意味する。だが中ロ共闘後は、アメリカ軍は中国軍とロシア軍の主力を想定することになる。アメリカ軍はアジアの中国とヨーロッパのロシアとの戦闘を強要されるので、アメリカ軍戦力を分割しなければならない。

 アジアとヨーロッパの二正面作戦だから兵站線も二線用意しなければならない。経済的負担は同じだとしても、物資の移動・備蓄・輸送・補給の負担は大きい。後方支援部隊が分割されることで、戦闘部隊を支援する能力が低下する。

 しかもアメリカ軍はアジアとヨーロッパで主力と戦うことになれば、容易には勝てない状況に陥る。仮に勝てるとしても長期戦になる。これは心理的にも作戦構想に負担を強いる。

■バランス
 中ロ共闘はアメリカに不利。ロシアと中国は主力でアメリカ軍と戦闘可能。だがアメリカ軍は主力を分割しなければならない。こうなればアメリカ軍は容易に動けない。この状況は政治に影響を与える。

 何故なら「戦争は政治の延長であり戦争も政治の一つ」。だから戦争のバランスが政治に影響を与える。中ロ共闘は米中貿易戦争に影響を与えるから、他の国の参加でバランスが変化する。

 既に日本はアメリカ陣営。しかもアジア担当になるので、中ロ共闘のバランスに影響を与えない。問題なのはヨーロッパにアメリカ陣営に参加する国が出ていない。ヨーロッパに有力な戦力を持つ国が参加すれば変化するが、現段階ではロシアと対峙する有力な国は未参加。今の段階では、中ロ共闘はアメリカとのバランスを保つ結果をもたらす。

■習近平主席は攻勢に出る
 中ロ共闘は追い詰められた習近平主席を救った。これが本質的な救いか一時的な救いかは不明。だが習近平主席が強気になれる。

中国、新型SLBM発射か=「米に抑止力誇示」-人民日報系紙
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190605-00000072-jij-cn

 中ロ共闘交渉は水面下で進んでいたはず。中国が6月2日にSLBM発射を行ったことは、中ロ共闘が決定したからだ。そうでなければSLBMを発射しない。SLBMを発射した時期はアジア安全保障会議が行われていた。この時に挑発的な実験を行うことは、明らかに中国からのメッセージ。

 アジア安全保障会議で中国軍軍人が強気発言をできた理由は、中ロ共闘が水面下で成立していたからだ。そうでなければアジア安全保障会議の場で強気発言をしない。中ロ共闘でアメリカ軍は二正面作戦を強いられる。これは軍事的な不利だから、中国軍が強気に出るのは当然。

 軍事で強気になれるなら政治でも強気になれる。習近平主席はロシア市場を背景に、トランプ大統領に強気に出るだろう。この強気はヨーロッパの有力な国が、アメリカ陣営に参加するまで続く。

■ロシアの影響
 ヨーロッパはロシアの安い天然ガスに依存する国が多い。安い天然ガスに依存すれば、社会そのものがロシアから干渉を受けやすい。安い天然ガスを前提に社会機能を維持していれば、余程のことがない限り別の国には変更できない。

 例えば50円の燃料価格が100円に上がれば大問題。50円の燃料を供給する会社の顔色を見るから、容易には他の会社に変えられない。そうなれば50円の燃料を供給する会社の要求を受け入れることになる。

 国家間になればロシアが内政干渉する。天然ガス価格を維持する代わりに、ロシアの要求を飲むことを強いられる。経済的に余裕の無い国は、仕方なくロシアの要求を飲むことになる。これはロシアの強みで、容易にはロシア離れは発生しない。

■トランプ大統領の決断
 米中貿易戦争でトランプ大統領が優勢だった。だがロシアの参加でバランスが維持された。ここでトランプ大統領が引けば中ロの勝利確定。米中貿易戦争は中国が勝利し、アメリカ市場は中国企業に食い散らかされる。
 
 トランプ大統領はイランを空爆することで中国の一帯一路を遮断できる。実行すれば中ロ共闘を潰せないが、米中貿易戦争で勝つことはできる。トランプ大統領は選択を迫られたが、迷いが出ればトランプ大統領の負けだ。



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