迷走する有志連合構想

■単独では動かない
 紛争・戦争は単独で行わない。必ず複数の国を味方にしてから紛争を行うか戦争する。可能な限り複数の国で連合し、相手国を包囲する様にする。そして相手国が譲歩しないなら戦闘開始。

米、他国に「船舶護衛強制せず」 ホルムズ有志連合構想を説明
https://www.sankei.com/world/news/190720/wor1907200001-n1.html

■アメリカの有志連合構想
 アメリカはホルムズ海峡防衛で有志連合構想を説明した様だ。公の構想が事実ならば、「やる気無し」の典型例。国際社会の有志連合は強国が中心に動く。強国の覇権を世界平和に置き換えて実行する。

 アメリカの平和を世界の平和に置き換えて、各国をアメリカの覇権下に置くことが目的。中身はアメリカン・スタンダードで、見た目はグローバル・スタンダード。アメリカを表に出せば拒絶されるが、世界平和を看板にして誤魔化す。

 だが今回の有志連合は強国としての構想ではない。本来ならばアメリカ軍が外国の船舶を護り、他の国の海軍もアメリカ軍と共同して護る。これが基本。

 今回の有志連合構想は、「自国の船は自国で護れ、アメリカ軍は外国船を護らない」。アメリカ軍は索敵機能を参加国に提供するだけで、自力で自国の船を護る。これでは強国の有志連合ではない。

■アメリカ軍の構想から見る
 冷戦期のアメリカ軍は、核戦争を想定した作戦構想を作成した。これは冷戦期の構想だが、基本的には方針は変わらない。だから大雑把な方針の手がかりになる。

国土戦域の戦争 =戦略核戦争(米ソ全面戦争)であり米国が戦う。
前方戦域の核戦争 =戦域核戦で核保有国(米英仏)が連合して対処。
前方戦域の通常戦争=通常戦で連合対処。
覇権戦域の局地戦争=同盟国が第一次責任、米国は軍事援助。

 これらの構想から見れば、今回の有志連合構想は「同盟国が第一次責任、米国は軍事援助」に該当する。アメリカ軍は索敵などの支援だけで、参加国の責任で対処する。過去のアメリカ軍は使わない方針で、端的に言えば強国は使わない方針。

■本来の方針
 本来は強国の主導で行われる。つまり、「通常戦で連合対処」が強国の方針。これまでのアメリカ軍はこれを採用している。同時に歴代大統領は強国としての方針を採用していた。だがトランプ大統領は、弱国の方針を採用した。だから「やる気の無い有志連合」なのだ。つまりアメリカ軍の有志連合構想は個別的自衛権であり、基本の集団的自衛権ではない。

集団的自衛権:複数の国が協力して生存権を護る。
個別的自衛権:自国の生存権を単独で護る。

■状況の変化
 これまでの有志連合構想は、「イランの動きを止める」ことだった。海軍で護衛すれば、イランは民間船を拿捕しないことが前提。アメリカは「海軍で護衛すればイランは拿捕しない」と思い込んでいる。

 だがイランは積極的に民間船を拿捕し始めた。この時アメリカ軍・イギリス軍は護衛していない。イギリス船籍のタンカーでもイギリス海軍艦艇は護衛していなかった。

 イギリスはイランの石油タンカーを拿捕したので、イランはイギリスに報復を宣言。イランはイギリス船籍の石油タンカーを拿捕したので、意図的にイギリスとの対立を選んだ。これは明らかに外国軍との戦闘を覚悟している証。

■崩れた前提
 仮にイランが積極的に拿捕するのであれば、海軍で石油タンカーを護衛しても無意味。何故なら「護衛すればイランは拿捕しない」前提が崩れている。イランが戦闘覚悟で動くことを前提としなければ民間船を護衛できない。

 そのためにはアメリカ軍が主導し、連合して外国船を護衛する方針が必要。そして戦闘覚悟で連合作戦を行うことが構想の方針になる。有志連合構想は基本の集団的自衛権にすべきなのだ。

■方針変更の可能生
 イランは連続して石油タンカーを拿捕した。イランの積極性から、アメリカ軍は有志連合構想の方針を変更する可能生が有る。これが基本の集団的自衛権に回帰すれば良いのだが、個別的自衛権であれば有志連合は無価値のまま。

■日本の方針
 海上交通路は日本の生命線。ホルムズ海峡は生命線だから、海上自衛隊をホルムズ海峡に派遣することは国民の生命を護ることと同じ。アメリカ軍は外国の船舶を護らないのであれば、日本はイギリスと共同して「外国船でも護る」方針にすべきだ。もしくは、他の国と共同して「外国船でも護る」方針にすべきだ。

 日本はイランと対立していない。ならば日本は、イランと協力してホルムズ海峡を護ることも可能。アメリカの有志連合構想が個別的自衛権ならば、日本はイランと共同することも選択肢の一つ。日本の基本方針は「外国船でも護る」。これならば日本は、日本国民の生命を護ると同時に世界に貢献できる。



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