アメリカは主役ではない

■変化
 これまではイランとアメリカの対立だった。だがイランの交渉相手はアメリカからヨーロッパに変更されている。だからアメリカはイランとの交渉では脇役で、主役はイギリス・フランス・ドイツなのだ。

■瀬戸際外交
 イランは瀬戸際外交を採用しているのは事実。だがイランは途中から瀬戸際外交の相手を変更している。

瀬戸際外交:「相手国にコストが合わない小さな戦争を売り付け、相手国に譲歩させる策」

 これまでのイランはアメリカに対して瀬戸際外交を行っていた。だが今年の6月以降から明らかに変化している。トランプ大統領はイラン空爆を土壇場で攻撃中止。これ以後からイランはアメリカを交渉相手と見なしていない様に感じる。

以前
瀬戸際外交の相手:アメリカ

現在
瀬戸際外交の相手:イギリス・フランス・ドイツ

 アメリカはイランを攻撃する直前まで到達したが、トランプ大統領は攻撃中止。瀬戸際外交は、相手国が怒って戦争を始めたら失敗。もしくは相手国が無視すると失敗する策。イランは直前で瀬戸際外交が失敗するはずだった。だがトランプ大統領が攻撃中止したことで延命した。

 ならばイランは、アメリカに対して瀬戸際外交を続けることが可能なはず。だが今のイランはアメリカを交渉相手にしていない。

■無策のトランプ大統領
 本来ならば外交交渉は、出口か逃げ道を用意するのが基本。だがトランプ大統領は戦争を恐れて経済制裁だけで解決しようとした。

出口:相手国に譲歩させるか、相手国から戦争を始めさせる。
最後通牒:相手国が譲歩するならば自国が餌を与える(能動的・押し売り)

逃げ道:自国が譲歩して相手国とウインウインの関係になる。
妥協案 :相手国に餌を与えて自国が譲歩する(受動的・等価交換)

包囲 :双方が譲歩できない。

 初期段階のトランプ大統領は、イランに対して出口を用意していた。だがトランプ大統領はイランに対して追加制裁を連発。これでイランは譲歩できない環境に追い込まれる。つまり出口も逃げ道も無い包囲された環境。同時にトランプ大統領も譲歩できない環境だから八方塞がりになったのだ。

 しかもトランプ大統領は戦争も拒否。イランとの交渉もしないのであれば、イランはアメリカに対して瀬戸際外交を行っても無駄・無意味になる。瀬戸際外交は相手国が戦争回避で譲歩するから使える。だがトランプ大統領は、戦争回避するが譲歩もしない。これでは瀬戸際外交は無意味になる。

■イギリスの変化
 イランはアメリカが交渉相手にならないと判断した。そこでイランは、瀬戸際外交の相手を、イギリス・フランス・ドイツに変更したと思われる。これ以後からイギリス外交が変化している。実際にイギリスはシリア向けのイランのタンカーをジブラルタル海峡で拿捕した。

出口 :イギリス
逃げ道:フランス・ドイツ
包囲 :アメリカ

 イランはイギリス・フランス・ドイツに対して瀬戸際外交を採用。これで戦争か譲歩かを迫る。アメリカに経済制裁されても、イギリス・フランス・ドイツなどが迂回すれば良い。ヨーロッパの立場では戦争するよりも貿易は良い話。しかも戦争するにはコストが合わない。

 これでイランは、アメリカを無視してヨーロッパと貿易する道が有ると思われた。だがイギリスは逃げ道から出口を採用。イギリスはイランの石油タンカーを拿捕したことで、イランとは対立関係になった。

■主役はイギリス
 イギリスがイランの石油タンカーを拿捕したことで、見た目はアメリカが有利。だがトランプ大統領は公の場で発言していない。イギリスとイランは何度も公の場でお互いに批判しているが、トランプ大統領は沈黙している。

 ホルムズ海峡でイギリスのタンカーが、革命防衛隊の船舶と思われる拿捕未遂が発生。これでイギリスとイランは双方を批判。だがトランプ大統領は沈黙している。

 イランの石油タンカー拿捕がアメリカからの要請であれば、必ずトランプ大統領の公式発言が有る。これはイギリスへの支援でありイランを悪にできる。さらにホルムズ海峡で拿捕未遂が発生すれば、これを利用してイランを攻撃することもできた。だがトランプ大統領は沈黙している。これで明らかに主役はイギリスであり、アメリカは脇役なのだ。

■アメリカの迷走
 トランプ大統領はホルムズ海峡を使うタンカーの護衛は、「アメリカではなく各国が行なえ」と発言している。だがアメリカの国防総省は、「ホルムズ海峡の防衛を有志連合で守る」と発言。

 アメリカはトランプ大統領の方針と政府機関の方針が一致していない。これではイランはアメリカに瀬戸際外交を採用しても無駄。だから迷走するアメリカからイギリス・フランス・ドイツを選ぶ。

 こんな時にイギリスは積極的に動くことを選んだ。これまでのイギリスは目立たない脇役。だがイギリスは過去の強国らしい主役に戻った。これでイギリスは、次の強国の座を取り戻そうとしている。

■イギリスの覇権拡大
 トランプ大統領はアメリカの平和を終わらせた。アメリカは強国から降りたので、イギリスは強国に名乗り出るチャンスを得たのだ。国際社会は覇権が全て。覇権とは軍事力を継続的に投入するから得られる。

 トランプ大統領は軍事投入を回避するから、アメリカの覇権は縮小している。トランプ大統領はタンカー護衛を各国が行うように発言しているので、中東におけるアメリカの覇権は縮小中。

 世界に覇権の空白地帯は存在しない。必ず別の国の覇権が侵入して拡大する。これが現実だから、イギリスは軍事力を投入して覇権拡大を選んだと言える。実際にジブラルタル海峡でイランの石油タンカーを拿捕し。ホルムズ海峡で自国の石油タンカーを護衛。革命防衛隊の拿捕未遂をイギリス海軍が対応した。

 これはイギリス海軍の存在を世界に示し、イギリスの覇権が地中海とホルムズ海峡に存在することを世界に示した。それに対してアメリカ軍は、遠方から無人偵察機で監視していたと報道される程度。これは暗にアメリカの覇権縮小を示し、イギリスの覇権拡大を示している。

■今後
 アメリカの外交方針はトランプ大統領と政府機関で一致していない。これはアメリカの矛盾であり迷走。だがイギリスは一致しているから、イギリスが主役となり覇権を拡大するだろう。
 
 イギリスはアメリカを踏み台にしている。イランとイギリスは対立しても、全ての責任をアメリカに押し付けて勝利を得る方針だと思われる。つまりイギリスは、漁夫の利を得る道を選んだ。


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