逃げ道を得た習近平主席

■悪化する米中貿易戦争
 トランプ大統領は米中貿易戦争で譲歩しない。それどころか中国に二者択一を迫っている。トランプ大統領は習近平主席に、「会談に応じなければ関税を課す」と脅迫。見た目は追い詰められた習近平主席だが、トランプ大統領の失態で逃げ道が作られている。

追い詰められた中国主席、トランプ大統領の最後通告で八方ふさがりに
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-06-11/PSY0W76VDKHW01?srnd=cojp-v2

■トランプ大統領の失態
 トランプ大統領は外交と経済では強硬姿勢だが、戦争に関することは極端に回避する。これまで北朝鮮・イランで先制攻撃の大義名分を得ていても、トランプ大統領は何度も好機を逃している。
 
 国際社会には抜け穴が有り、トランプ大統領は抜け穴を用いて北朝鮮・イランを先制攻撃で空爆可能だった。ベネズエラに関しても人道目的で軍隊を投入することが可能だった。だがベネズエラにすら軍隊を投入しない。

 アメリカはイランの革命防衛隊をテロ組織と認定。国際社会ではテロ組織・ゲリラ組織を攻撃する時は越境攻撃しても黙認する。理由は国境から出ないなら、テロ組織・ゲリラ組織を殲滅できない。これでは国防が出来ないので、国際社会では対テロ作戦・対ゲリラ作戦では越境攻撃が黙認される。

 実際にアメリカのアフガニスタン侵攻、トルコのシリアへの侵攻などが最近の例。だから革命防衛隊をテロ組織と認定したのは、イランを先制攻撃する大義名分にするため。しかも革命防衛隊は宗教組織の私兵だから国際社会では義勇兵扱い。

 国際社会では義勇兵は正規軍ではない。だから義勇兵である革命防衛隊を先制攻撃しても国際社会は黙認する。実際にイスライル軍はシリアに展開している革命防衛隊に対して越境攻撃している。

 アメリカは革命防衛隊をテロ組織に認定しなくても先制攻撃可能。それでもテロ組織に認定した。これは二重の予防策。アメリカは明らかにイランを攻撃する予定だった。だが直前で攻撃を中止。

 これにイラン・ロシア・北朝鮮・中国は気付いたと思われる。明らかに6月になってからイラン・ロシア・北朝鮮・中国の対応が変化した。つまり、「トランプ大統領は攻撃の決断ができない」と見抜いたのだ。

 トランプ大統領が強硬姿勢を貫いても、空爆命令を出せないなら安心。トランプ大統領が空爆から戦争に拡大することを恐れるなら、トランプ大統領は攻撃命令を出さないことになる。6月になるとイラン・ロシアは強硬になり、ロシアは海軍艦艇をアメリカ艦に異常接近させている。これは確認のためかもしれない。

■連携する中ロ
 米中貿易戦争の最中に中ロが連携した。これがアメリカに対抗したブロック経済圏の始まりだと仮定すれば、今後イラン・ロシア・中国・北朝鮮・ベネズエラなどでブロック経済圏を構築する可能性が有る。

 反アメリカ・ブロック経済圏を作れば、トランプ大統領を嫌う国が参加する可能性が有る。その典型がトルコ。トルコはロシア製地対空ミサイルを購入することでアメリカが反発。トルコはアメリカの介入を嫌い、反アメリカ・ブロック経済圏に参加する可能性が有るのだ。

 中国はアフリカに進出しているので、アフリカ諸国も反アメリカ・ブロック経済圏に参加する可能性が有る。そして政治と経済は別物なので、ヨーロッパ諸国も反アメリカ・ブロック経済圏と取引する国が出ても不思議ではない。

現実主義(realism) :政治・軍事
実用主義(pragmatism):経済

現実主義と実用主義の道具:正義(善悪)の思想

 イギリス・フランス・ドイツなどはイランと取引していた。これはイランとの取引で利益を得ているので、反アメリカ・ブロック経済圏と取引する可能性が高い。政治は現実主義で国境が有る。それに対して経済は実用主義なので国境は無い。

 経済が国境に合わせると市場規模は拡大しない。だが市場を外国に求めれば拡大する。経済で利益を増加させるなら外国との貿易は重要。だからイギリス・フランス・ドイツなどは反アメリカ・ブロック経済圏と取引することになるだろう。

■無視されるトランプ大統領
 国際社会は強国の論理で動く。これは軍事を背景にした外交を行うから、強国の論理が適用される。だが強国が軍事力を使わない場合は、地位を低下させることを意味する。これが国際社会の現実。

 強国は軍隊を投入するから覇権が維持できる。相手国は軍隊が投入されるなら強国を恐れ間接的に従う。だが言葉だけで軍隊を投入しないなら恐れることはない。自国の立場を優先するだけ。これが現実。

 トランプ大統領は国際社会の現実を忘れ、言葉だけで軍隊を投入しない。見た目は戦争回避で良いことだが、世界はアメリカの地位低下だと認識する。つまりアメリカの発言など無視して行動するのだ。

■習近平主席の対応策
 トランプ大統領は日本で開催されるG20で会談を要求。トランプ大統領は会談に応じなければ全ての商品に関税を課すと威嚇。

前提:会談に応じなければ関税を課す。

消極的可能性:会談に応じれば習近平主席は弱腰だと批判される可能性が有る。

積極的可能性:会談に応じるだけで一時的だが関税回避が可能。
 タイプ1:会談でアメリカに同様の報復関税を行う。(強気だと思われる)
 タイプ2:会談で反アメリカ連合ブロック経済圏を提示することが可能。

 習近平主席には選択肢が有る。会談に応じれば国内で弱腰だと批判される。だが会談に応じ、アメリカ商品全てに関税を課す報復が行える。習近平主席が報復を行えば、これは強気の姿勢を内外に示せる。さらにトランプ大統領の威嚇を無力化したので、逆にトランプ大統領の立場が悪くなる。

 習近平主席はトランプ大統領の強硬姿勢を恐れない姿を示せるから有利になる。それに対してトランプ大統領は、無力化されたので地位が低下する。

 仮に習近平主席が反アメリカ・ブロック経済圏を公表すると、今度はトランプ大統領が不利になる。中国はアメリカ市場を失うが、アメリカからの輸入から他の国に移行している。中国商品がアメリカ市場で売れないことは損失だが、反アメリカ・ブロック経済圏で売れるなら利益を維持できる。習近平主席はこれを武器に、トランプ大統領に反撃する事もできる。

■現実は
 実際に反アメリカ・ブロック経済圏が作られるか不明。これは仮定の段階。だがトランプ大統領が軍事投入をしないことで流れが変わっているのは事実。習近平主席は強気の対応ができるから、トランプ大統領は主導権を失っている。

 イランの革命防衛隊が暴発してアメリカ軍を攻撃すれば、流れはトランプ大統領に主導権を与えてしまう。今は革命防衛隊がトランプ大統領の運命を左右することになった。軍事投入しないアメリカは強国ではない。皮肉なことに革命防衛隊が、動かないことでアメリカを強国の座から降ろせるのだ。



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