アメリカの間接的な宣戦布告

■ほぼイランの攻撃
 サウジアラビアのタンカーが5月12日に攻撃された。被害は軽微だったが、調査の結果「ほぼイラン」が関係していると明らかにした。アメリカは以前からイランが攻撃すれば反撃すると公言。今回は調査の結果イランの仕業だと公言したから、アメリカは間接的な宣戦布告をしたと言える。

サウジタンカーへの攻撃、背後にイランは「ほぼ確実」米大統領補佐官
https://www.afpbb.com/articles/-/3227360

■国際社会のお約束
 国際社会では直接的な言動と間接的な言動を区分する。宣戦布告でも直接的な宣戦布告と間接的な宣戦布告で区分される。さらに戦争も直接的な戦争と間接的な戦争で区分する。だから正式な発言ではない場合は、これが間接的なものに該当する。

 国際社会では軍隊を用いて開戦した国は悪の国にされる。理由は「今の平和を否定する」からだ。これは宣戦布告後に開戦しても無意味。宣戦布告は明確に開戦を宣言するだけで、先に開戦した国は平和を否定することを意味する。

 国際社会では今の平和を正義とするから、軍隊を用いた直接的な戦争は悪になる。そのため国際社会は間接的な戦争で国防を行う。間接的な戦争は義勇兵の派遣や、テロ組織・ゲリラを支援して敵対国と戦わせる。さらに海上封鎖・経済制裁・空爆など多彩。

 軍隊を用いて直接戦争すれば悪の国になるが、間接的な戦争なら黙認される。これが国際社会の現実。そうしなければ国防が出来ないので黙認される。つまり国際社会は抜け穴だらけ。

 イランとアメリカは知っている。だから双方が相手を怒らせる発言をする。舌戦は相手国を怒らせて、相手国から開戦するように仕向ける策。経済制裁も間接的な戦争で、法律論も相手国を怒らせる間接的な戦争。

■イランからの最後通牒
 イランはアメリカが制裁解除・履行約束なら協議可能だと発言。見た目は良い話だが、基準から見ればイランからの最後通牒を意味する。

イラン大統領、米国が制裁解除・約束履行なら協議可能と示唆
https://jp.reuters.com/article/usa-iran-rouhani-idJPKCN1SZ15N

妥協案 :相手国に餌を与えて自国が譲歩する(受動的・等価交換)
最後通牒:相手国が譲歩するならば自国が餌を与える(能動的・押し売り)

典型例:ハル・ノート
「餌を与えての譲歩の要求は妥協案であるが、譲歩すれば餌を与えるという条件は最後通牒である」

 イランは間接的に最後通牒を行った。正式な最後通牒は外務省・大使館を中継して相手国に伝えられる。公の発言は間接的。だからイランはアメリカに間接的な最後通牒を行った。

■国際社会の基準
 国際社会は強国の論理で動く。国際条約は全ての国に平等に適用される法律ではなく、強国が弱国を懲罰するための道具。だから今の平和は強国に都合が良いルール。

 サウジアラビアのタンカーを攻撃したのは正規軍ではない。イランに所属しない武装組織の攻撃だとしても、イランに関係するならイランが責任を負うことを意味する。

1:国家に所属していない交戦団体の行動についての責任も国家が負う。
2:国家以外の交戦団体(軍隊)の主権は認めない。

戦例:アメリカ・イギリス・フランス・オランダ連合による下関への砲台砲撃(1863)。長州藩と連合による武力衝突だが賠償は幕府が行った。

 革命防衛隊が支援するテロ組織の実行でも、イラン政府は責任を負わされる。イラン民兵の実行でもイラン政府が責任を負わされる。

 つまり戦争ではなく、懲罰としてイランを攻撃することが可能。そのためにタンカーへの攻撃は、イランが関係していると発言した。これはアメリカがイランを攻撃する兆候だ。

■間接的な戦争
 正規軍の攻撃でも、対テロ作戦名目なら間接的な戦争になる。アメリカが革命防衛隊をテロ組織に認定した理由は間接的な戦争を行うため。しかも砲撃・ミサイル攻撃などの越境攻撃は間接的な戦争に該当する。

 アメリカは二重三重の策でイラン攻撃を正当化している。革命防衛隊は宗教組織の私兵だから国際社会では義勇兵扱い。交戦相手が義勇兵ならば間接的な戦争になる。それでもアメリカは革命防衛隊をテロ組織に認定。これはアメリカがイランを攻撃する強い意志を感じさせる。

■内憂外患のイラン
 イランはアメリカの意志を理解している。しかも国際社会の抜け穴を知っている。だからイランは革命防衛隊を用いて間接的な戦争をしている。革命防衛隊を用いた間接的な戦争だから、アメリカも容易には攻撃できない。これでイランは間接的な戦争を続けることが出来た。

 状況が変わったのは米中貿易戦争が先鋭化してから。米中貿易戦争が先鋭化すると、一帯一路の中継地点のイランは狙われた。イランを攻撃すれば、中国が進める一帯一路の陸路と海路を同時に遮断できる。これでイランは経済制裁などで追い詰められるようになった。

 イランは革命防衛隊を用いてアメリカと間接的な戦争をしたのは事実。アメリカはイランの過去の行為を踏み台にして、「イランはアメリカ軍と同盟国を攻撃する命令を出している」と言い出した。

 これは事実だが、アメリカは別の件と今の件を同一視した。こうなると分離が難しい。これまでアメリカ軍と同盟国に行っている間接的な戦争と、これからの行動は別物。アメリカがイランを攻撃すると知れば、攻撃司命令など出せない。

 アメリカは「アメリカ軍と同盟国が攻撃されたら反撃する」と公言。これ以後のイランの間接的な戦争は、全てイラン攻撃の大義名分にされる。これは明らかだからイランから手が出せない。イランから手を出せばアメリカ軍の攻撃は100%行われる。

 今の状態で均衡を保てば、アメリカ軍がイラン近辺に集まるだけ。アメリカ軍はイランを攻撃しない可能性も有る。イランを攻撃しない可能性も有るから、イランからは手を出せない。だが戦力が集まってからイランを攻撃する可能性も有る。

先制攻撃の場合  :イランは100%攻撃される。

手を出さない場合 :
可能性1・イランは攻撃されない。
可能性2・イランは攻撃される。

 イランからは手を出せない状態になっており、待てばアメリカ軍の戦力が集まる。待てば生き残る可能性は有るが、攻撃される可能性も有る。イランとしては、僅かな可能性が有る手を出さない策しか選べない。

■イラン攻撃後の世界
 イランは米中対立に巻き込まれた。中国が一帯一路を進めたことでアメリカの覇権と対立。アメリカは中国の挑戦を受けて対立した。だが直接戦争は行えないから間接的な戦争で中国に挑んでいる。

 イランは一帯一路潰しに使われる道具。イラン攻撃後の世界は、アメリカ陣営と中国陣営に分裂する。世界は嫌でも巻き込まれるので、日本は経済だけではなく政治も備えなければならない。悪い方向に進めば第三次世界大戦に向かう。だから陣営を間違うと戦勝国と敗戦国に分かれる。


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