アメリカ軍のシリア撤退と意味

海洋国家は内陸に侵攻すると消耗するか国家が滅亡する。文字による記録では紀元前のペロポネソス戦争から現代まで変わっていない。海洋国家の軍事行動は大陸の海岸線ならば有利に戦えるが、内陸に侵攻すると消耗して勝てないのが現実。

ペロポネソス戦争で海洋国家アテネは大陸国家スパルタに対して初期段階は優勢だった。これはアテネが大陸の海岸線で戦ったから。だがペロポネソス戦争中盤からアテネの政治家は方針を変えた。

アテネ軍は内陸で戦うようになると状況が変わる。今度はスパルタが優勢になり戦争に勝利した。

後の時代では七つの海を制した大英帝国。大英帝国は優れた技術で兵器を生み出し、質・量で植民地を拡大した。植民地にされた国の軍では質・量で勝てない。だがイギリス軍がインドの内陸部に侵攻すると勝てなくなった。

経験則から海洋国家の内陸部への侵攻は、海岸線から200kmが限界になった。これは兵站と戦力が関係していると思われるが、現段階では明確な答えは無い。

判っていることは、「海洋国家は海岸線から200kmまでが侵攻限界」であること。

今のアメリカ軍はアフガニスタン・イラク・シリアで軍事作戦を実行した。これらに共通していることは海岸線から200km以上内陸で作戦していること。実際にアメリカ軍は消耗している。

アメリカ軍は海岸線に基地を置き、海岸線の基地から火力・軍隊を投射することが本来の姿。だからイラクの海岸線に基地を置いて内陸部の部隊は撤退するのは正しい。これはアフガニスタンに展開する部隊も同じ。

アフガニスタンを警戒したいならば、パキスタンの海岸線に基地を置いておけば対応できる。さらにパキスタン海岸部に基地を置けば、イランに対して警戒も可能。

戦域の区分
国土戦域:国家主権として主張できる地域
前方戦域:領域線と国防線の間の緩衝地帯
覇権戦域:国防線よりさらに前方で覇権を争う地域

大陸国家と海洋国家の対立は海峡などで発生する。今回のシリア内陸部は地政学的対立ではなく覇権の世界。だから交渉や撤退が可能。この場合は戦争は無駄であり戦争を回避する領域。

覇権とは「言葉による指導力」だから、アメリカが外交で指導できれば良い。

アメリカの覇権がシリアから引けば隣接国の覇権が拡大するのは当然。トルコ・イラン・イラク・ロシアの覇権が拡大するだろう。

それはアメリカの問題ではなく現地の問題。

シリア周辺の情勢が不安定になれば消耗するのはトルコ・イラン・イラク・ロシア。アメリカではない。シリア周辺の情勢が安定すれば都合が良いのはアメリカ。

何故ならアイシル向けの対テロ・対ゲリラ戦を行うのはトルコ・イラン・イラク・ロシア。対テロ・対ゲリラ戦消耗するのはトルコ・イラン・イラク・ロシアになる。だからアメリカは困らない。

アメリカは歴史に反して直接統治方式に拘り過ぎた。覇権を効率良く維持するには間接統治が好ましい。

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